108.諦(134から)
2009年2月15日 日常ウルトンたちとそう離れていない場所では雷が飛び交っていた。
(……これが【雷撃の魔導士】?少し拍子抜けだ)
ジャスティスはリズミカルに雷撃を避けながら、矢を放つ。クサモチの体に届く前に雷によって落とされるものの、流れは完全にジャスティス側に向いていた。
「本調子じゃないのか、ただやる気が無いのか。
だがこのチャンスを逃す気はオレには無い、ミン!やれ!」
「わかったよジャス!……むんっ!!」
【念止力】。今までクサモチはほとんど動くことが無かったため一見するとわかり辛いが、それでも確実に動きは止められていた。
口がピクピクと動くだけのクサモチを確認し、ジャスティスは突撃のための一歩を踏み出す。
風が吹き、クサモチの普段は長い前髪で隠れている目が少しだけ露わになった。
(!?コレは、ヤバイッ!)
尋常でない力が込められている。ジャスティスは前に出した足に力をいれ、そのまま後方に飛び退った。
「悪逆」
発せられた言葉はただそれだけ。その一言により呼び出された黒味を帯びた線を成す雷が、ミンティスを庇ったジャスティスの背中に直撃した。
同時にあたりの雪が蒸発し、水煙が舞い上がる。瞳の拘束から逃れたクサモチはその光景を眺めながら、"飛んできた矢"を軽々と雷で叩き落した。
昇天の光はあがっていない。蒸気の中から現れたジャスティスは深手を負ってはいなかった。ただ羽織っていたマントが形無く完全に消失していて、背中に少し焦げ後が残っている。
「……高速詠唱とほぼ無詠唱の短さで、【耐雷】の魔道具を壊すか。まさに化物だな」
「ど、どうするの?ジャス?」
【念止力】がほぼ無意味だということがわかった今、相性はとてつもなく悪い。その上力量が離れすぎている。
手に負えない。ジャスティスはそう判断を下した。ならば―
「ウルトン!」
現状の最良を選択したリペノ、一方ジャスティスは現状を変えることを選択した。
「交代しろ!」
「は!?」
その一言で即座にジャスティスとミンティスは戦線を離脱し、ヤミハルへ向かう。
その結果クサモチと対峙するはめになったのは、まだ現状を良く飲み込めていないウルトンがただ一人だ。
「おいふざけんなよ!?」
「オレ達にはアイツの相手は無理だ。だが、オマエならできる」
少なくとも、少しは耐えられるはず。その間に【黒翼】を3人がかりで倒し、その後【雷撃】を仕留める。この力の差がありすぎる戦い、数で押すしかない。ジャスティスはそう考えていた。
「【雷撃の魔導士】、実質カイド一の魔法使いだ。オマエは、ヤツに敵わないのか?」
「……!!そういうことなら、やってやる!」
安い挑発。だがウルトンにとっては効果覿面、ヤミハルのことは完全に眼中から消え、クサモチ一人に集中する。
「へっ」
ニヤリと笑い、武者震い。ウルトンは拳を手のひらに叩きつけ気合を入れ、
「てめぇ見たいなヒョロヒョロ雑魚は、このウルトン様だけで十分だ!覚悟しろよ!」
―クサモチは、強い。正直言って死ぬかもしれない。けど……やってみたい!!
強く大きく吼えた。
(……これが【雷撃の魔導士】?少し拍子抜けだ)
ジャスティスはリズミカルに雷撃を避けながら、矢を放つ。クサモチの体に届く前に雷によって落とされるものの、流れは完全にジャスティス側に向いていた。
「本調子じゃないのか、ただやる気が無いのか。
だがこのチャンスを逃す気はオレには無い、ミン!やれ!」
「わかったよジャス!……むんっ!!」
【念止力】。今までクサモチはほとんど動くことが無かったため一見するとわかり辛いが、それでも確実に動きは止められていた。
口がピクピクと動くだけのクサモチを確認し、ジャスティスは突撃のための一歩を踏み出す。
風が吹き、クサモチの普段は長い前髪で隠れている目が少しだけ露わになった。
(!?コレは、ヤバイッ!)
尋常でない力が込められている。ジャスティスは前に出した足に力をいれ、そのまま後方に飛び退った。
「悪逆」
発せられた言葉はただそれだけ。その一言により呼び出された黒味を帯びた線を成す雷が、ミンティスを庇ったジャスティスの背中に直撃した。
同時にあたりの雪が蒸発し、水煙が舞い上がる。瞳の拘束から逃れたクサモチはその光景を眺めながら、"飛んできた矢"を軽々と雷で叩き落した。
昇天の光はあがっていない。蒸気の中から現れたジャスティスは深手を負ってはいなかった。ただ羽織っていたマントが形無く完全に消失していて、背中に少し焦げ後が残っている。
「……高速詠唱とほぼ無詠唱の短さで、【耐雷】の魔道具を壊すか。まさに化物だな」
「ど、どうするの?ジャス?」
【念止力】がほぼ無意味だということがわかった今、相性はとてつもなく悪い。その上力量が離れすぎている。
手に負えない。ジャスティスはそう判断を下した。ならば―
「ウルトン!」
現状の最良を選択したリペノ、一方ジャスティスは現状を変えることを選択した。
「交代しろ!」
「は!?」
その一言で即座にジャスティスとミンティスは戦線を離脱し、ヤミハルへ向かう。
その結果クサモチと対峙するはめになったのは、まだ現状を良く飲み込めていないウルトンがただ一人だ。
「おいふざけんなよ!?」
「オレ達にはアイツの相手は無理だ。だが、オマエならできる」
少なくとも、少しは耐えられるはず。その間に【黒翼】を3人がかりで倒し、その後【雷撃】を仕留める。この力の差がありすぎる戦い、数で押すしかない。ジャスティスはそう考えていた。
「【雷撃の魔導士】、実質カイド一の魔法使いだ。オマエは、ヤツに敵わないのか?」
「……!!そういうことなら、やってやる!」
安い挑発。だがウルトンにとっては効果覿面、ヤミハルのことは完全に眼中から消え、クサモチ一人に集中する。
「へっ」
ニヤリと笑い、武者震い。ウルトンは拳を手のひらに叩きつけ気合を入れ、
「てめぇ見たいなヒョロヒョロ雑魚は、このウルトン様だけで十分だ!覚悟しろよ!」
―クサモチは、強い。正直言って死ぬかもしれない。けど……やってみたい!!
強く大きく吼えた。
コメント