「……おかしいな」
「何がだ?」
 今、ウルトン・リペノ・ジャスティス・ミンティスの4人が部屋に集合していた。ただでさえ狭い部屋は、もう自由に身動きする空間すら無くなっている。
 疑問を投げかけたのはジャスティスだった。
 
「リーダー、スノウはココに手紙を送れる状況にあった。つまりオマエの居場所が分かっていたってことだ。
 それなのに何故直接会いにこず、こんなまどろっこしい方法をとる必要がある」
 
「罠の可能性もありますね」
 
 リペノとジャスティスは手紙を見ながらあれこれ話あっていた。ミンティスはその場の緊迫した空気に馴染めずオロオロと顔を眺めるだけ。
 スノウの指定した日時は、ちょうど明日。考える時間は1日しかなかった。しかしウルトンの心は既に決まっていた。
 
「俺は行く。罠だろうがなんだろうが、会って奴と話せるなら……スノウのやろーが何を考えているのか知れるなら、それで構わない」

 それに賛同するかのようにパロットが一声クェと鳴き、開きっぱなしだった口をようやく閉じた。
 
――
 その夜。
 
「……の情報と、ワタクシの情報を吟味した結果?やはりそういうことになりますね?」
「ああ」
 スノウとミヤイニレはフォロッサのあるホテルの一室を借りていた。ウルトン達に全く遭遇しなかったのは偶然としか言えないだろう。
 二人は今、件の"手紙"のことについて情報をまとめていた。
 
「だが、罠だと思ってこなかったらどうする」
「いや、ほぼ確実に来るでしょう?恐らく"そういうもの"でしょうから?」
「まあこないならこないでも、こちらとしてはいいんだがな」
 スノウはミヤイニレから顔を逸らし、窓の外を見た。精悍な顔がガラスに映っていた。荒んだ面影は、欠片も無い。
 
「頭はすっきりしましたか?」
「……ああ」
 ニヤニヤと笑うミヤイニレにスノウは短く一言だけ返した。
 
「なら、気をつけてくださいよ?我等がリーダー様は、ああいうタイプの相手に弱いんですから?」
「……そう何度も言わなくても分かっている。それにそのために、お前が先に行くのだろう」
「念には念を置かないといけませんからね?リーダー様は、弱いですからねえ?」
 
 スノウはこの言葉を"自分のことを心配してくれている"と善意的に受け取ったが、真意のほどは定かではない。
 
「間に合いそうか?」
 今度はミヤイニレとは反対側に向かってスノウが声を掛けた。そこにはプレイヤーは見当たらない。
「何とか」
 しかしその空間からは人間の声が、確かに発生していた。
 

 
 早朝。
 
 アトラは一人苛立っていた。
「あやつらはどこに行きおったんじゃ。朝から大事な会議があると言っておいたのに。こうなったら儂もバックレて……」
 そして、部下にその独り言をしっかり聞かれていた。



 各々が持つ理由は違うものの、様々な立場の人間が、今一つの島に集まろうとしていた。

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