99.逢 (98.から

2008年7月13日
 俺は今一つの町とロフ島の町々との往復を繰り返している。その拠点が俺が面接を受けた小汚い店があった小さな港町だ。地図で言うとフォロッサの西側に位置している。
 モエリの港に届けられた大量の本はいくつかの輸送店に集められる。そこから本を選別して各図書館に輸送する。新しい本というのは案外ぽんぽん出てくるようでそれなりの量になるのでそれなりにウザったい。カイド内以外にも他国からも本が集まってくるのでものすごい量になる。これが全て魔法書なら、どんなに素晴らしいことだと思うのだが、役に立つ魔法書は0に等しかった。
 
 最初は地獄だと思ったが、慣れるとそう苦でもない。貸して貰った寝床はそれなりに良かったし、町の人々もいい奴らばかりだった。比較的小さな町だったのでほぼ全ての町民と逢ったんじゃないだろうか。これは顔見知りじゃない奴はいないとまで言い切れるレベルだ。
 
 それに何より、本が読める。
 新刊には魔法書はほとんど無いが、注文される本には人気のある魔法書が多い。暇な時間に読んでもいいという許可を貰ったので休憩時間や休息日にはお構い無しに書物を漁る事にした。
 
 どこから嗅ぎ付けたのか【猫かぶり】がやってきて「楽しそうですね」と嫌味を残して去っていく、なんていうこともあった。もしかして奴は本当は俺に魔法を習いたくて俺を付け回しているんじゃないかとも思ったが、【猫かぶり】が現れたのはそれ1回きりだった。
 
 
 
 そして、事件は起きた。

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