90.輝 (96.から)
2008年6月11日―ジャスティスとミンティス
「分かった。リーダーを探すのはオレたちに任せろ」
「お任せだね!それで見つけたらカイドに連れてこればいいんだね?」
―リペノ
「僕はもう少しカイドを見て回ろうと思います。
あ、シムシの兵をやっていたことはバレないよう慎重に行動するので大丈夫です」
―――俺
「本当に、今日はツイているっていうか、いろんなことに縁があるって言うか……」
運が見える奴がいるなら、今日の俺はその輝きで満ちているんじゃないか?
適当に歩いて、適当についた街の、適当に選んだ図書館の、適当に進んだ先にあった窓際の長机。そこにそいつはいた。
「アトラが言ってた"奴"ってのはこいつのことだったのか」
緑尽くめのそいつは机に突っ伏して眠っていた。まるでモズクみたいだ。こいつの名前はこれからモズクにすればいいんじゃないのか。
「やーいモズク。おいこら起きろこのモズク。海のモズクにするぞこのモズク野郎。起きろっつってんだろこのモズクサモチ!」
「殺す」
閃光が走り、そして俺は気絶した。
―――
誰かに運ばれたのか、目が覚めるとそこは児童書コーナーのソファーの上だった。Liveの世界に児童という概念があるのかは分からないが、ここには児童向けの本以外にも初心者向けの魔法の本なども少しは用意されている。
「……」
クサモチはふわふわのソファーに体を沈み込ませながら本を読んでいた。俺が起きたのには気づいたようだが、いつもどおり一向に無口だった。
「久しぶりに会った俺様に対していきなり攻撃してくるとは、何様のつもりだこのクサモチめ」
クサモチは普段滅多にしゃべらない。だがこっちが矢継ぎ早に言葉を繰り出せば、最後には実に嫌な顔をして言葉を返してくれる。俺はその顔が嫌いじゃない。これが俺たちの会話のキャッチボールだ。
「……ウルトン。
……誰だっけ?」
……
「てめええええええええええええええええ」
少し、ショックだ。
「あぁ、思い出した。あの面倒な奴か」
どんな覚え方だよ。まあいい、覚えてただけマシと考えよう。
「ハッ、俺のほうはお前のことなんてほとんど記憶にのこってねーけどな!
俺は勉強をしにわざわざこの図書館に来てやったんだ。俺ほどの魔法使いに来てもらえるとはこの図書館もありがたいな!」
クサモチはそうか、と言ったっきり本に視線を戻した。
ここでクサモチに会えたのは相当運が良かったと思う。人にばかり頼るのは癪だが、独学では限界があるのは分かっていた。俺のような奴がこれ以上成長するには、誰かの指導がまだまだ必要だ。もちろん一人で魔法について考えることも重要だから怠ることはしないが。
「ところでお前今暇か?」
返事は無かった。本から視線を全く外しすらしない。
これは『見れば分かるだろ』という気持ちを体全体で表現しているんだ。ああ見ればわかる、バリバリ暇なんだろ?
「そうか暇か。なら俺に魔法を教えるべきだと思わないか?教えなきゃアトラにお前がここにいるってこと言いつけるぞ。どうせ勤務中なんだろ?」
『その前に殺す』という選択肢を選ばれるかと思ったが、脅しの効果はあったようだ。
クサモチはソファーから体を起こし、そして……
「分かった。リーダーを探すのはオレたちに任せろ」
「お任せだね!それで見つけたらカイドに連れてこればいいんだね?」
―リペノ
「僕はもう少しカイドを見て回ろうと思います。
あ、シムシの兵をやっていたことはバレないよう慎重に行動するので大丈夫です」
―――俺
「本当に、今日はツイているっていうか、いろんなことに縁があるって言うか……」
運が見える奴がいるなら、今日の俺はその輝きで満ちているんじゃないか?
適当に歩いて、適当についた街の、適当に選んだ図書館の、適当に進んだ先にあった窓際の長机。そこにそいつはいた。
「アトラが言ってた"奴"ってのはこいつのことだったのか」
緑尽くめのそいつは机に突っ伏して眠っていた。まるでモズクみたいだ。こいつの名前はこれからモズクにすればいいんじゃないのか。
「やーいモズク。おいこら起きろこのモズク。海のモズクにするぞこのモズク野郎。起きろっつってんだろこのモズクサモチ!」
「殺す」
閃光が走り、そして俺は気絶した。
―――
誰かに運ばれたのか、目が覚めるとそこは児童書コーナーのソファーの上だった。Liveの世界に児童という概念があるのかは分からないが、ここには児童向けの本以外にも初心者向けの魔法の本なども少しは用意されている。
「……」
クサモチはふわふわのソファーに体を沈み込ませながら本を読んでいた。俺が起きたのには気づいたようだが、いつもどおり一向に無口だった。
「久しぶりに会った俺様に対していきなり攻撃してくるとは、何様のつもりだこのクサモチめ」
クサモチは普段滅多にしゃべらない。だがこっちが矢継ぎ早に言葉を繰り出せば、最後には実に嫌な顔をして言葉を返してくれる。俺はその顔が嫌いじゃない。これが俺たちの会話のキャッチボールだ。
「……ウルトン。
……誰だっけ?」
……
「てめええええええええええええええええ」
少し、ショックだ。
「あぁ、思い出した。あの面倒な奴か」
どんな覚え方だよ。まあいい、覚えてただけマシと考えよう。
「ハッ、俺のほうはお前のことなんてほとんど記憶にのこってねーけどな!
俺は勉強をしにわざわざこの図書館に来てやったんだ。俺ほどの魔法使いに来てもらえるとはこの図書館もありがたいな!」
クサモチはそうか、と言ったっきり本に視線を戻した。
ここでクサモチに会えたのは相当運が良かったと思う。人にばかり頼るのは癪だが、独学では限界があるのは分かっていた。俺のような奴がこれ以上成長するには、誰かの指導がまだまだ必要だ。もちろん一人で魔法について考えることも重要だから怠ることはしないが。
「ところでお前今暇か?」
返事は無かった。本から視線を全く外しすらしない。
これは『見れば分かるだろ』という気持ちを体全体で表現しているんだ。ああ見ればわかる、バリバリ暇なんだろ?
「そうか暇か。なら俺に魔法を教えるべきだと思わないか?教えなきゃアトラにお前がここにいるってこと言いつけるぞ。どうせ勤務中なんだろ?」
『その前に殺す』という選択肢を選ばれるかと思ったが、脅しの効果はあったようだ。
クサモチはソファーから体を起こし、そして……
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