「ぽ……ぽっぽっぽ……」
上手く言葉がでてこず、リペノはまるで鳩だった。
「ポチさん!?」
「?そうですけど……」
怪訝そうにリペノを見下ろすプレイヤー、ネーム:『ポチ』。
【隻眼の剣士】、または【隻眼】と呼ばれる、シムシで10本の指に入るほど有名なプレイヤーだ。
今は『賢者の石』強奪の疑惑が立ち逃亡中であると聞いていたため、リペノは会えることは無いだろうと思っていた。
最も今は【無神】による影響でシムシの状況は悪化しているので、ポチ個人に構っている暇など無いのだが。
「わ、わた、あのわたし、は、あの!ポチさんにあこがれてて!
いつか、またお会い、でき、できたら!あの!わたしポチさんの部隊に、一度だけ!
あのまた会えるなんて、思ってませんでした!」
しどろもどろになりながら話すリペノを見て、ポチは警戒を少し解いた。
「それは……ありがとう。僕にそんなに人望があるなんて知らなかったな。
でもごめん。僕は君の事を覚えていないみたいだ」
「そんなこといいんです!!」
「でも、つまり君はシムシの兵……ってことだよね?
それが何でこんなところにいるんだい?」
「そ……れは……」
−−−−
リペノは一つのテントに通された。何か訳ありだな、と悟られるぐらいに表情が変わってしまったのだろう。
リペノは包み隠さず全てを話した。
まともな調査もせずにポチを犯罪者と断定したシムシに疑問を持ち、一度郡を抜け修行をしようと思ったこと。その時に起きた事件、そして自分の能力の事。
その間ポチは言葉を挟まずに黙って聞いていた。
「この能力を持っている限り、僕は人を不幸にしか出来ないんじゃないか、と思えてくるんです」
初めからそうだったのかもしれません、と感情のあまりこもってない声で付け加えた。
「ビギナ近くの森での事です。ログインしてから初めて人に会いました。僕は嬉しくてすぐその人に話しかけました。……でも」
暗かったリペノの顔が更に暗くなる。
「その人は僕と目があった瞬間……石になったんです」
何が起きたのか分からなかった。町に助けを求めに行き、そしてリペノの相手をしてくれたプレイヤーさえも石になった。
「石像が十数個出来上がった頃、本能的にやっと分かったんです。ああこの目だ、って」
リペノは無意識に左目を手のひらで覆っていた。
「でも、たとえ目を潰しても、【メデューサ】は人に不幸を与えます。今回のでそれが良くわかりました」
リペノの心は折れかけていた。
「わたしは……Liveにいる資格なんて」
「僕には」
ポチが言葉を遮った。その手には剣が掲げられていた。
「僕にはこれしか無いから」
ポチは自ら掲げた剣を見上げている。リペノが言葉の意を図りかねたようにポチの顔を見つめた。
「これ一本でどれだけの人が守れるかやってみた。
それでも、僕にはほんの一握りの人しか救う事は出来ないんだ」
ポチは剣からリペノの目に目線を移して、
「君のその力は、僕なんかよりももっともっと多くの人を守る事が出来るように神様がくれたプレゼントなんじゃないかな」
真剣な目でそう言った。
「僕は、そう思うよ」
上手く言葉がでてこず、リペノはまるで鳩だった。
「ポチさん!?」
「?そうですけど……」
怪訝そうにリペノを見下ろすプレイヤー、ネーム:『ポチ』。
【隻眼の剣士】、または【隻眼】と呼ばれる、シムシで10本の指に入るほど有名なプレイヤーだ。
今は『賢者の石』強奪の疑惑が立ち逃亡中であると聞いていたため、リペノは会えることは無いだろうと思っていた。
最も今は【無神】による影響でシムシの状況は悪化しているので、ポチ個人に構っている暇など無いのだが。
「わ、わた、あのわたし、は、あの!ポチさんにあこがれてて!
いつか、またお会い、でき、できたら!あの!わたしポチさんの部隊に、一度だけ!
あのまた会えるなんて、思ってませんでした!」
しどろもどろになりながら話すリペノを見て、ポチは警戒を少し解いた。
「それは……ありがとう。僕にそんなに人望があるなんて知らなかったな。
でもごめん。僕は君の事を覚えていないみたいだ」
「そんなこといいんです!!」
「でも、つまり君はシムシの兵……ってことだよね?
それが何でこんなところにいるんだい?」
「そ……れは……」
−−−−
リペノは一つのテントに通された。何か訳ありだな、と悟られるぐらいに表情が変わってしまったのだろう。
リペノは包み隠さず全てを話した。
まともな調査もせずにポチを犯罪者と断定したシムシに疑問を持ち、一度郡を抜け修行をしようと思ったこと。その時に起きた事件、そして自分の能力の事。
その間ポチは言葉を挟まずに黙って聞いていた。
「この能力を持っている限り、僕は人を不幸にしか出来ないんじゃないか、と思えてくるんです」
初めからそうだったのかもしれません、と感情のあまりこもってない声で付け加えた。
「ビギナ近くの森での事です。ログインしてから初めて人に会いました。僕は嬉しくてすぐその人に話しかけました。……でも」
暗かったリペノの顔が更に暗くなる。
「その人は僕と目があった瞬間……石になったんです」
何が起きたのか分からなかった。町に助けを求めに行き、そしてリペノの相手をしてくれたプレイヤーさえも石になった。
「石像が十数個出来上がった頃、本能的にやっと分かったんです。ああこの目だ、って」
リペノは無意識に左目を手のひらで覆っていた。
「でも、たとえ目を潰しても、【メデューサ】は人に不幸を与えます。今回のでそれが良くわかりました」
リペノの心は折れかけていた。
「わたしは……Liveにいる資格なんて」
「僕には」
ポチが言葉を遮った。その手には剣が掲げられていた。
「僕にはこれしか無いから」
ポチは自ら掲げた剣を見上げている。リペノが言葉の意を図りかねたようにポチの顔を見つめた。
「これ一本でどれだけの人が守れるかやってみた。
それでも、僕にはほんの一握りの人しか救う事は出来ないんだ」
ポチは剣からリペノの目に目線を移して、
「君のその力は、僕なんかよりももっともっと多くの人を守る事が出来るように神様がくれたプレゼントなんじゃないかな」
真剣な目でそう言った。
「僕は、そう思うよ」
コメント
「スキンヘッドにしたらどうかな?」
「えっ?」
「ほら、髪が蛇になるなら髪の毛が無ければいいでしょ。
だからスキンヘッド」
「ス……!?いや、で、でも!!」
「大丈夫衆にはスキンヘッドばかりだからさ!ほらお兄さんに任せてほらほらほら」
「いやあああああああ」
なんだこれ