61.敵(72から)

2007年10月5日
 
!?
 
【灰身】、プレイヤーキラーを殺す集団。
その手段は強引で、罪の無いプレイヤーまで対象とする。
お姉さんが、その、【灰身】だった!?
あ、だった、か ならいい いやよくねぇよ え、どういうことだ。
 
俺の同様とは裏腹にお姉さんは淡々としゃべり続ける。
 
「そのスパイ活動の一環として有名なPK集団、
 今は崩壊してしまったらしいですが、ゴッドレスにも一時期身をおいていました」
 
ゴッドレス!?
あの悪逆非道の限りを尽くしたというPK集団。
 
……まぁ聞いたこと無いけど。
【検索】は非常に便利なスキルだ。どこの組織も欲しがるんだろう。 
 
「でも【灰身】のやり方にも、ゴッドレスのやり方にも嫌気がさしてきたんです。
 だからどんな目に遭おうとも脱退しようと決意しました。
 その決断をしたのは、ちょうどウルトンさんと旅に出たときですね」
 
ああ、あのとき……
確かにあの時はお姉さんは急いでいるように見えた。
きっとカイドからすぐに出なくちゃいけなかったんだろう。
……俺の立場は?
 
「ふふっ。ウルトンさんを気にしてなければ一緒に連れて行きませんよ」
 
【読心術】はいいのでお願いですから続きをお願いします。
恥ずかしいっていってんだろ!
 
「そうですね。では続きを……
 遺跡に来たのには【灰身】から身を隠すという意図もありました。
 脱退した私はもう彼らに狙われる身ですしね。 
 でも今は、隠れるだけではなく、正面から彼らと戦い
 遺跡の住人を守ることが最善の行為だと思っています。
 
 私は、【灰身】の真意を知らなかったわけではありません。
 彼らの行動が善だと思いその活動に参加していました。
 ですからせめてもの罪滅ぼしとして一般プレイヤーを守り、
 ケジメとして【灰身】の活動を止めさせる。
 いざとなったら昇天させることも厭いません。」
 
ですが、とお姉さんは続けた。
 
「私の力だけではこの遺跡を守ることすら出来ないでしょう。
 乗りかかった船、というわけにはいかないですが、力を貸して貰えませんか?」
 
もちろん答えは決まっていた。というか何を今更、だ。
 
「俺の第一目標であるお姉さんに死なれたら困りますからね。
 俺のような未来の超魔法使いには関係のないことですけど、
 しょうがないから協力してあげてもいいですよ」
 
お姉さんはニコリと微笑んだ。見透かされているのはわかっている。
リペノはというといつの間にかお姉さんの手を取って「がんばりましょうね!」などと叫んでいた。
(正義)馬鹿だからこいつは力を貸すことを断ることなんてないと思っていた通りだ。
 
「……ちっ」
不快な舌打ちが聞こえた。
発生源はもちろん奴だった。
 
「怖かったら逃げてもいいんだぞこの機械馬鹿が。
 お前がいないほうが気分がいいしな」
 
「逃げれりゃさっさとこんな集落見捨ててやる。
 逃げれりゃな。
 さっきの【猫かぶり】の騒動でサカグって奴に顔を見られた。
 恐らくネーム確認もされただろうな。
 【灰身】の無茶苦茶なPKK対象の決定から考えて、
 サカグと一戦交えた時点で俺もその対象に入ってるだろうよ。
 敵の攻撃を避けて暮らすには、どうせこいつに協力する他に選択肢はねぇんだよ。」

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