39.無
2007年3月6日最初の襲撃以外には特に何も起こらず、アルル大峡谷を数日で横断することが出来た。
途中余りにも静かだったので不思議に思い、見晴らしのいいところから戦地となっているあたりを覗いてみたが
そこに居たのはたった数十名のプレイヤーで、衆とシムシが争っているというよりは
血に飢えた奴らが戦闘を楽しんでる、といった感じだった。
シムシと衆の小競り合いは終わったのか?それとも何か理由があるのだろうか。
「疲れた……」
谷を抜けると背の低い草原が広がっていた。ちらほらと木も生えている。
気がつくとお姉さんは祈りのポーズをとっていた、【検索】中だ。
「【幸運の女神】はステラにいるようですね」
「ステラってどこら辺にあるんですか?」
「ここから真南にすぐのところにあります、運がいいですね」
しかもステラには癒しの泉と呼ばれる、治療にもってこいのものがあるらしい。本当に何もかもが都合がいいな。
ステラへ向かう際に何度か赤銅色の肌をした奴らとすれ違った。
俺が初めて衆を訪れてからそんなに経っていないのにとても懐かしい気がする。
だけど前とは何かが違う、以前来た時にも確かに好戦的な奴らばかりだったが
今はギスギスしているというか、……衆ってよそ者に対してこんなに冷たかったか?
ステラにたどり着くころにはもう夕方になっていた。
*
「動くなっ!両手を頭の上に置け!」
『ステラ』到着後に浴びせられた第一声がこれだ。ネーム:確認:ポチ
「ステラに何のようだっ!もし敵意があってここに来たのならば去れ!さもなくば……」
「何だテメェ喧嘩なら買うイッテーッ」
お姉さんに足を思いっきり革靴で踏まれた。
「ごめんなさい。私たち【幸運の女神】を探してここまできたんです。
少しやっかいな呪いにかかってしまったもので。
あ、場所は【検索】を使って知ったのですよ」
それでもポチは疑いの眼のままだ。
「銀派である可能性が少しでも残っている奴をこの集落に入れることはできない!ぐっ……」
言い終わって吐血。
「ちょっとポチさんまた勝手に出歩いて!
いい加減にしてくださいよ!」
ぱたぱたと小走りの足音と共に女の声がした。
「あ」
「え?」
フォロッサ城で会った白い魔法使いだった。念のため、ネーム:確認:ザクロ
*
「それじゃあ、覚悟してくださいね」
ザクロのおかげで誤解(?)も解け、今は癒しの泉に来ている。
(ザクロとお姉さんは顔見知りだったらしく会話が弾んでいた。
やっぱり受付の人は顔が広い。
というかザクロは俺のことを覚えていなかった)
「呪いを解くにはまず制御アイテムを外さないといけません」
お姉さんとポチは少し離れたところで見ている。
「いきますよ!痛くなったら手をあげてください!」
無茶苦茶だ。歯医者じゃねえんだよ!
途中余りにも静かだったので不思議に思い、見晴らしのいいところから戦地となっているあたりを覗いてみたが
そこに居たのはたった数十名のプレイヤーで、衆とシムシが争っているというよりは
血に飢えた奴らが戦闘を楽しんでる、といった感じだった。
シムシと衆の小競り合いは終わったのか?それとも何か理由があるのだろうか。
「疲れた……」
谷を抜けると背の低い草原が広がっていた。ちらほらと木も生えている。
気がつくとお姉さんは祈りのポーズをとっていた、【検索】中だ。
「【幸運の女神】はステラにいるようですね」
「ステラってどこら辺にあるんですか?」
「ここから真南にすぐのところにあります、運がいいですね」
しかもステラには癒しの泉と呼ばれる、治療にもってこいのものがあるらしい。本当に何もかもが都合がいいな。
ステラへ向かう際に何度か赤銅色の肌をした奴らとすれ違った。
俺が初めて衆を訪れてからそんなに経っていないのにとても懐かしい気がする。
だけど前とは何かが違う、以前来た時にも確かに好戦的な奴らばかりだったが
今はギスギスしているというか、……衆ってよそ者に対してこんなに冷たかったか?
ステラにたどり着くころにはもう夕方になっていた。
*
「動くなっ!両手を頭の上に置け!」
『ステラ』到着後に浴びせられた第一声がこれだ。ネーム:確認:ポチ
「ステラに何のようだっ!もし敵意があってここに来たのならば去れ!さもなくば……」
「何だテメェ喧嘩なら買うイッテーッ」
お姉さんに足を思いっきり革靴で踏まれた。
「ごめんなさい。私たち【幸運の女神】を探してここまできたんです。
少しやっかいな呪いにかかってしまったもので。
あ、場所は【検索】を使って知ったのですよ」
それでもポチは疑いの眼のままだ。
「銀派である可能性が少しでも残っている奴をこの集落に入れることはできない!ぐっ……」
言い終わって吐血。
「ちょっとポチさんまた勝手に出歩いて!
いい加減にしてくださいよ!」
ぱたぱたと小走りの足音と共に女の声がした。
「あ」
「え?」
フォロッサ城で会った白い魔法使いだった。念のため、ネーム:確認:ザクロ
*
「それじゃあ、覚悟してくださいね」
ザクロのおかげで誤解(?)も解け、今は癒しの泉に来ている。
(ザクロとお姉さんは顔見知りだったらしく会話が弾んでいた。
やっぱり受付の人は顔が広い。
というかザクロは俺のことを覚えていなかった)
「呪いを解くにはまず制御アイテムを外さないといけません」
お姉さんとポチは少し離れたところで見ている。
「いきますよ!痛くなったら手をあげてください!」
無茶苦茶だ。歯医者じゃねえんだよ!
コメント