24.7

2007年3月1日
何だこれは。
この家も騒動に巻き込まれたのか?
いや、ここは港からはかなり離れてるし……でもこれは……
 
 
 
 
お姉さんに着いてフォロッサをどんどん離れていくと一軒の家があった。
 
「その幻覚魔法を抑える魔法アイテムがあったはずなんです。
 いつまでも手を頭につけてるわけにはいかないでしょう?」
 
俺何も説明してないのに……
 
「【読心術】、便利ですね……」
 
「不安定なスキルなんですけどね、人によって読みにくかったり……
 ウルトンさんは特に意思が読み取りやすいんですよ。」
 
言いながらドアを開けるお姉さん。そこには未知の世界が広がっていた。
 
 
 
 
猛烈に汚い。
 
 
 
 
足の踏み場がないとはよく言うが、この状況を簡潔に述べるならば、床がない。
様々な本、アイテムが散らかっている。頭の取れたコケシとか一体何に使うのか。
驚愕している俺を気にせずにお姉さんは【検索】のポーズを取っている。
……この汚さは【検索】の副作用か?

「あ、ありました!これです。」
タンスの裏側をごそごそやって取り出したそれは皮で出来たリング状のものだった。
 
あれ、というかそれ、首輪じゃないですか?ペット用の。
なんで近づいてくるんですか?あれ、首に何してるんですか?
 
 
カチャリ、首にはめられた。
 
 
「そのアイテムをつけていれば掛けられた魔法効果を一つだけ打ち消すことが出来るんですよ。
結構レアなんですからね。」

恐る恐る手を頭からはずしてみる。幻惑は起こらない。
でも首輪って……

「壊れたらおしまいですし、一時凌ぎにしかなりません。
 フォロッサ城にいるザクロという通称【幸運の女神】ならその魔法を解くことが出来るかもしれません」

ザクロ?ああ、さっき城で会ったあの魔法使いか。

「ですが……【幸運の女神】は先ほどカイドを出発しました。
 なんでもカイド王の命令だとかなんとかで……」

「まじで!?」

どうする?【幸運の女神】を追う?
魔法の修行は?……でも図書館は壊れてしまった。
いや、アトラに全部聞けば……カイドの復旧や襲撃の真意を知るのに何かと急がしいだろう。
それにアトラに頼ってばかりはいられない。自分で決めなければ。

俺の全てを読んでいるお姉さんが口を開いた。

「【幸運の女神】を追いましょう。
 私が同行します。私の【検索】を使えば普通より早く見つけられるはずです。
 魔法の修行も私に任せてください。
 それに、あなたはカイドを出た方がいいと思います。
 ここは貴方にとって危険な場所になると、思うんです。」

いろいろ不思議だった。この人はどうして?
「なんでここまで俺に良くしてくれるんですか?」

「貴方ならこの世界の……いいえ。なんでもありません。」

言いかけた言葉を引っ込める。珍しい。
「それに」
 
「それにあなたは、魔法使いを目指す私の大切な後輩ですからね!」
 
 
――
荷物を詰め込む。
俺には元々旅道具というものがなかったから全部お姉さんが用意してくれた。
それとは別にリュックのようなものを背負っていた。
中身は何か、と聞いても「7つ道具です!」という答えしか返ってこなかった。
 
 
 
カイドを出発!

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