22.怒
2007年2月28日「どうせ【隻眼】に化ける前に、クールタイムが必要だったところだぁ。
暇つぶしに、おめぇと遊んでやるよ!」
クサモチが変身した?
いや、違う。【ゼロ:B】の効力で魔力は無効化されるはずだから変身なんか出来ないはずだ。
さっきあいつが言ってた【なりすまし】、それが解けた、ってことか?
「てめぇ誰なんだよ!なんでクサモチに化けてた!」
「おいおい、あんまり、はしゃぐなよぉ。
城の中で昇天の光が立って兵士に気づかれるのもまずいしなぁ。
静かに、じわじわいたぶってやるよ、ぐへへへへへ」
今まで散々強い奴にボコられてきた。だから分かる。
こいつ自体はそんなに強くない。【なりすまし】も対峙している今使われても問題はない。
逃げるか捕まえるか。勝てる可能性があるなら捕まえてアトラにでも引き渡すべきだ。
「ぐへへ」
なんだ?視界が霞む。
「どうしたぁ?ぐへっぐへ」
気がつくと目の前に奴がいた。いつのまに?
「ぐっ!」
慌てて蹴りを出す。
物にあたった感触がなかった、あるのは右肩への痛み。血が出ていた。
「まずは右肩!ぐへへへへ!」
何だ、一体こいつどこから。
「ぐへへ」
背中に奴の影。今度は後ろか!?なら……
振り返り様に、影とは反対側の何も無い空間に蹴りを入れる、感触はない。
「ぐへっへへ!騙されたぁ!騙されたぁ!!」
今度は本物!?左腕を狙ってのナイフ攻撃、皮膚を掠る。
黒ローブ男の姿はもうない。
なら、でたらめに炎を放つ。低級魔法だから詠唱は短くていい、相手の場所が特定できれば。
全ての炎が消散した。
「ぐふふ、初心者にしてはなかなか考えてるがぁ、甘ぇなぁ!
そんなカス魔法、オラにきくかよぉ!」
勘、今度は上から。避けきる。
こいつ、やる気になれば俺を殺せるくせに遊んでやがる!
急に外が騒がしくなった。
地面が揺れる。続いて馬鹿でかい長い、長い唸り声。
轟音、悲鳴。外で何が起きている?
「どうやら【邪眼】の方は、成功したみてぇだな、ぐへへ。
とすると、さっさと作戦を実行しないと、【無常】様に叱られちまうなぁ!」
声だけが聞こえる。姿は無い。
「最後にいいプレゼントをくれてやるよぉ!
この幻惑から自力で抜け出せた奴はいない、苦しめ 苦しめぇ!ぐへへっへへ!」
視界が暗転する、思考が保てない、何を……
「死、絶望、虚無を味わった体がどうなるか、楽しみだなぁ!
小一時間もしたら、ぐふぐへへ」
アルル大峡谷での戦争。怒りのみの感情が支配する場。
死ぬ 皆死ぬ。
スンラとヘロがいた。お互いに殺しあっている。
ヤミハルがいた。兜ごと首が転げ落ちた。
クサモチがいた。肉が裂けバラバラになった。
アトラがいた。絶叫しながら燃え尽きた。
受付のお姉さんがいた。爆発して内臓が吹き飛んだ。
俺がいた。皆を殺していた。
違う、あれは俺じゃない。俺にあんな強さは無い。
でも……俺が殺したも同然じゃないか?
死んでいく。俺が弱かったから。俺は何もしていない。俺は何も出来ない。俺が殺した。俺が。
手を延ばす あと少し あと すこ し
自分の 身体に 両手を!
シュッと短い音、視界が廊下に戻る。【ゼロ:B】の効果、自分に掛けられた魔法の無効化。
頭がくらくらする。幻惑のダメージがひどい。
両手は離せない。【ゼロ:B】は両手を常につけていないと発動できない。
城の中も騒がしい、俺はどれくらいここにいたんだろう?
暇つぶしに、おめぇと遊んでやるよ!」
クサモチが変身した?
いや、違う。【ゼロ:B】の効力で魔力は無効化されるはずだから変身なんか出来ないはずだ。
さっきあいつが言ってた【なりすまし】、それが解けた、ってことか?
「てめぇ誰なんだよ!なんでクサモチに化けてた!」
「おいおい、あんまり、はしゃぐなよぉ。
城の中で昇天の光が立って兵士に気づかれるのもまずいしなぁ。
静かに、じわじわいたぶってやるよ、ぐへへへへへ」
今まで散々強い奴にボコられてきた。だから分かる。
こいつ自体はそんなに強くない。【なりすまし】も対峙している今使われても問題はない。
逃げるか捕まえるか。勝てる可能性があるなら捕まえてアトラにでも引き渡すべきだ。
「ぐへへ」
なんだ?視界が霞む。
「どうしたぁ?ぐへっぐへ」
気がつくと目の前に奴がいた。いつのまに?
「ぐっ!」
慌てて蹴りを出す。
物にあたった感触がなかった、あるのは右肩への痛み。血が出ていた。
「まずは右肩!ぐへへへへ!」
何だ、一体こいつどこから。
「ぐへへ」
背中に奴の影。今度は後ろか!?なら……
振り返り様に、影とは反対側の何も無い空間に蹴りを入れる、感触はない。
「ぐへっへへ!騙されたぁ!騙されたぁ!!」
今度は本物!?左腕を狙ってのナイフ攻撃、皮膚を掠る。
黒ローブ男の姿はもうない。
なら、でたらめに炎を放つ。低級魔法だから詠唱は短くていい、相手の場所が特定できれば。
全ての炎が消散した。
「ぐふふ、初心者にしてはなかなか考えてるがぁ、甘ぇなぁ!
そんなカス魔法、オラにきくかよぉ!」
勘、今度は上から。避けきる。
こいつ、やる気になれば俺を殺せるくせに遊んでやがる!
急に外が騒がしくなった。
地面が揺れる。続いて馬鹿でかい長い、長い唸り声。
轟音、悲鳴。外で何が起きている?
「どうやら【邪眼】の方は、成功したみてぇだな、ぐへへ。
とすると、さっさと作戦を実行しないと、【無常】様に叱られちまうなぁ!」
声だけが聞こえる。姿は無い。
「最後にいいプレゼントをくれてやるよぉ!
この幻惑から自力で抜け出せた奴はいない、苦しめ 苦しめぇ!ぐへへっへへ!」
視界が暗転する、思考が保てない、何を……
「死、絶望、虚無を味わった体がどうなるか、楽しみだなぁ!
小一時間もしたら、ぐふぐへへ」
アルル大峡谷での戦争。怒りのみの感情が支配する場。
死ぬ 皆死ぬ。
スンラとヘロがいた。お互いに殺しあっている。
ヤミハルがいた。兜ごと首が転げ落ちた。
クサモチがいた。肉が裂けバラバラになった。
アトラがいた。絶叫しながら燃え尽きた。
受付のお姉さんがいた。爆発して内臓が吹き飛んだ。
俺がいた。皆を殺していた。
違う、あれは俺じゃない。俺にあんな強さは無い。
でも……俺が殺したも同然じゃないか?
死んでいく。俺が弱かったから。俺は何もしていない。俺は何も出来ない。俺が殺した。俺が。
手を延ばす あと少し あと すこ し
自分の 身体に 両手を!
シュッと短い音、視界が廊下に戻る。【ゼロ:B】の効果、自分に掛けられた魔法の無効化。
頭がくらくらする。幻惑のダメージがひどい。
両手は離せない。【ゼロ:B】は両手を常につけていないと発動できない。
城の中も騒がしい、俺はどれくらいここにいたんだろう?
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