3日ほど大図書館に篭りきりだった。
受け付けのお姉さんとも仲良くなった。
(―え?丸一日練習しても炎がでないんですか? ちゃんとこの本の言う通りにしましたか?
おかしいですね……これは初心者でも理解できるはずなんですが……
あ、そんな落ち込まないで下さい。分かりました、私が教えます。いいですか、これは……
この人相手だと会話がいらない。どうやら彼女は【読心術:A】を持っているらしい。
3日間の苦労あってようやく手のひらにマッチの火大の炎が出せるようになった。
スキルレベルアップ:炎魔法【C】はでなかった。こんなもの魔法のうちに入らないということなのか。
4日目、ふと気になったことがあったので聞いてみた。
「お姉さん、スキル:【ゼロ】について何か知りませんか?
適当に魔法書を漁ってみたんですが載ってなくて。」
「【ゼロ】、ですか?聞いたことないですね……
ちょっと待ってください。今【検索】かけますから。」
彼女はそういって目を瞑り、まるで神に祈るかのように手を合わせた。
「深いですね……あ、ありました。」
目を瞑ってから10分後、ついて来てください、とだけ言って歩きだした。
図書館の奥は再現なく続いていく。
聞いたところによると空間操作系の魔法が掛かっているそうだ。
今後の勉強になると思ってよく見ておいたがさっぱり分からなかった。笑われた。
1時間ぐらい歩いたころ、やっと受付のお姉さんが立ち止まって本棚に手を伸ばした。
1冊の本を取る。表紙はぼろぼろで全体的に黄ばんでいる。
「これですね……相当古い本ですが。はい、どうぞ。」
本は日記形式になっていた。
『私の友人が【ゼロ】というスキルを持っている事が分かった。
前例が見つからないので細かな事はわからないが、【ゼロ:C】はどうやら「不可能を可能にする」能力のようだ。
しかし彼は副作用を知らなかった。いや、知りえなかったのだ。
彼は好奇心に押されて【ゼロ】を使いつづけた。
枯れない花を作った。腐らないパンを作った。呪いのアイテムを作った。
ある日彼は階段で転んだ。
彼は武道派だったので階段で転ぶこと自体珍しかったのだが、受身も取れずに落ちていった。
彼は気づかなかったのだ。彼の肉体の能力の何もかもが1になっていたことに。
そして体力、いわゆるHPというものの最大値までもが1になっていた事に。
【ゼロ】を持つものよ、気をつけろ。これはその身を滅ぼす技。
使い方を間違えてはならない。』
「……」
「大変な、スキルですね……」
―――
図書館に篭ってから1週間後、アトラから城へのお誘いの手紙が届いた。
「この手紙を見せれば城に入れる。来たいときにいつでもこい。」
だそうだ。
奴がどうやって俺の居場所を知ったのか、不思議な事は色々あるがきっとそれも魔法やスキルなんだろう。
このころには俺はビー球サイズの炎を出せるようになっていた。
行って見るか。
受け付けのお姉さんとも仲良くなった。
(―え?丸一日練習しても炎がでないんですか? ちゃんとこの本の言う通りにしましたか?
おかしいですね……これは初心者でも理解できるはずなんですが……
あ、そんな落ち込まないで下さい。分かりました、私が教えます。いいですか、これは……
この人相手だと会話がいらない。どうやら彼女は【読心術:A】を持っているらしい。
3日間の苦労あってようやく手のひらにマッチの火大の炎が出せるようになった。
スキルレベルアップ:炎魔法【C】はでなかった。こんなもの魔法のうちに入らないということなのか。
4日目、ふと気になったことがあったので聞いてみた。
「お姉さん、スキル:【ゼロ】について何か知りませんか?
適当に魔法書を漁ってみたんですが載ってなくて。」
「【ゼロ】、ですか?聞いたことないですね……
ちょっと待ってください。今【検索】かけますから。」
彼女はそういって目を瞑り、まるで神に祈るかのように手を合わせた。
「深いですね……あ、ありました。」
目を瞑ってから10分後、ついて来てください、とだけ言って歩きだした。
図書館の奥は再現なく続いていく。
聞いたところによると空間操作系の魔法が掛かっているそうだ。
今後の勉強になると思ってよく見ておいたがさっぱり分からなかった。笑われた。
1時間ぐらい歩いたころ、やっと受付のお姉さんが立ち止まって本棚に手を伸ばした。
1冊の本を取る。表紙はぼろぼろで全体的に黄ばんでいる。
「これですね……相当古い本ですが。はい、どうぞ。」
本は日記形式になっていた。
『私の友人が【ゼロ】というスキルを持っている事が分かった。
前例が見つからないので細かな事はわからないが、【ゼロ:C】はどうやら「不可能を可能にする」能力のようだ。
しかし彼は副作用を知らなかった。いや、知りえなかったのだ。
彼は好奇心に押されて【ゼロ】を使いつづけた。
枯れない花を作った。腐らないパンを作った。呪いのアイテムを作った。
ある日彼は階段で転んだ。
彼は武道派だったので階段で転ぶこと自体珍しかったのだが、受身も取れずに落ちていった。
彼は気づかなかったのだ。彼の肉体の能力の何もかもが1になっていたことに。
そして体力、いわゆるHPというものの最大値までもが1になっていた事に。
【ゼロ】を持つものよ、気をつけろ。これはその身を滅ぼす技。
使い方を間違えてはならない。』
「……」
「大変な、スキルですね……」
―――
図書館に篭ってから1週間後、アトラから城へのお誘いの手紙が届いた。
「この手紙を見せれば城に入れる。来たいときにいつでもこい。」
だそうだ。
奴がどうやって俺の居場所を知ったのか、不思議な事は色々あるがきっとそれも魔法やスキルなんだろう。
このころには俺はビー球サイズの炎を出せるようになっていた。
行って見るか。
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